光のもとでⅠ
「もう少しそこにいろ。俺が表に出れば少しは注意を引ける。そしたら誰か迎えによこすから」
「……ツカサ、待って――」
 茂みから出たツカサはすぐに走り出し、あっという間に見えなくなった。
 混乱する頭を抱え、ツカサの言葉を思い出す。
 ツカサが、私を好き……?
 本当に? 嘘じゃなくて? 冗談でもなくて……?
「私……キス、された……?」
 唇に触れると、自分の手の冷たさを感じ、その前に触れたあたたかな感触を思い出す。
 時間差で顔に火がついた気がした。
 耳にはツカサの言葉が何度もリフレインする。

 ――「好きでもない相手にキスなんてしない」

 これは本当にツカサが言った言葉……?
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