光のもとでⅠ
「あの、このあと打ち上げというものがあるみたいで……」
「翠葉ちゃん、行くの?」
 少し驚いたような顔をされた。
「行くつもりはなかったのですが、お父さんが行っておいでって……。帰りは家族の誰かが迎えにきてくれることになっています」
「そっか……。そうだね、最後まで楽しんでおいで」
 そう言うと、大きな優しい手が頭に置かれた。
 その手はすぐに離れる。
 秋斗さんは後ろを振り返り、放送ブースから出てきた嵐子先輩に声をかけた。
「嵐子ちゃん、俺帰るから、司に戸締りよろしくって伝えてね」
 秋斗さんはそのまま図書室を出ていった。
 背中が寂しく見えたのは気のせい……かな。
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