光のもとでⅠ
「……雅さんに会わなければ難しいことは考えなかったかもしれません。でも、知ってしまったから――聞かなかったことにはできなかったし、考えずにはいられなかったし、すごく不安になりました」
「うん」
「でも、断ったときにお話したことは本心です。こんな状態の私は見られたくないです。見てほしくないです……。でも、どうしてか側にいてほしいと思う気持ちもあって、自分の気持ちなのに上手に折り合いがつけられない――」
「……そうだったんだね」
 やっとだ……やっと、俺が聞きたかった部分を話してくれた。
 さっきの栞ちゃんの言葉が効いているのかもしれない。
 それからしっかりと視線を合わせて、
「さっきはひどいことを言ってしまってごめんなさい」
 プリンのカップをサイドテーブルに置くと、彼女を正面から捕らえるようにベッドに腰掛ける。
「それは自分以外の人を俺に勧めたこと?」
「はい……」
「……俺も謝らせてね」
「え……?」
 君だけが悪かったわけじゃない。俺だって十分大人げなかった。だから、全部を自分のせいにはしないでほしいな。
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