光のもとでⅠ

56

 桃華さんに見送られ、ツカサと歩き始めてすぐに後悔した。
 一緒にいたくて思わず「歩く」と言ってしまったけど、横に並んで一緒に歩いて――それで?
 いつもなら、その日にあったことを話しながら歩くだろう。
 けど、今はそれもできずにいた。
 昨日のライブステージの話をしても深みにはまりそうだし、今日の話なんて――。
 未だに夢なのか現実なのか、はっきりと区別ができない。
 あのとき、私は起きていたのか寝ていたのか……。
 時間が経てば経つほどに、どちらなのか自信が持てなくてなってきていた。
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