光のもとでⅠ
 ツカサの制服に頬が触れていた。
「誰が冷静だって? 普通に見えるって?」
 いつもより数段低い声が耳に届く。
「ツカサが……」
「その耳は飾り物か?」
 そう言うと、ツカサは私の頭を胸の中央に移した。
「これが冷静な人間の鼓動だって言うなら冷静なんだろうな」
 ツカサの鼓動は私と変わらないくらいの速さでドクドクと連打していた。
「ツカ、サ……?」
 半分、信じられないような気持ちでツカサの顔を見ると、白い肌が首までピンクになっていた。
 青白い街灯の下なのに、ピンクに見える。
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