光のもとでⅠ
「あまり見るな」
 ツカサは顔を背け、私の手を引いて歩きだす。
「冷静なら、あの場でキスなんてしていない。片思いだって認識している状態でキスする男が冷静なわけがない。……そのくらい察しろ」
「……本当、に?」
「本当かどうかは心拍数が物語ってると思うし、現時点でこれ以上の証明能力持ち合わせてないんだけどっ!? それに、あの状況でキスされて普通にしてる翠のほうが信じられない」
 え……?
「全然普通じゃないよ……? ツカサが触れたところだけ妙に熱く感じるし、ただ飲み物を飲んでいるだけなのに顎のラインや喉仏に釘付けになるし、普通に話しているだけなのに唇が――」
 そこまで話して言葉に詰まる。
 恥ずかしくて、恥ずかしすぎて……。
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