光のもとでⅠ
「……なんか、嫌な夢見た……?」
 心配そうな面持ちで俺を見る視線に耐え切れない。
 俺のいかがわしい思考を今すぐどっかに捨ててきたい。
「いや、そういうんじゃない……かな」
 必然的に苦笑いしか浮かばない。
 けど、そんな表情はさらにリィの心配を煽ったようだ。
「心配しなくていいよ。ほら、リィは今日家出るの早いんでしょ? 急がなくちゃ――って俺が早く起きろって話か……」
 俺、ただいま絶賛動揺中。
 頭冷やす方法というか、挙動不審すぎる自分を落ち着ける術が思いつかなくて、ゴツとわざと壁に頭をぶつけてみた。
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