光のもとでⅠ
 蹴飛ばされて起こされたいわけじゃない。
 でも、寝とぼけてリィを襲うくらいなら殴って起こしてもらうほうが断然いい。
 ひとつの結論を導き出し、俺はバスルームへ向かった。

「おはうようございます」
 ダイニングに足を踏み入れ、「げ……」と思う。
「朝食に遅れてくるとはいい身分だな」
 六時半という早い時間の朝食にオーナーが来るとは思っていなかった。
 リィ、有益な情報は先に流しておこうか。
「ここがオーナーの持ち物であることは存じています。が、今は一応自宅なので」
 それっぽく答えては、リィが座るラグの左側のソファに座った。
 本当はリィの左側に座ろうとしたんだけどね。
< 6,163 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop