光のもとでⅠ
「じゃぁ、さっきのお詫びもらってもいい?」
 俺、調子に乗ってるかもしれない。でも、我慢はできそうにない。
 彼女の手を放し体の両脇に手を付くと、マットが少し沈んだ。
 それに驚いたのか、彼女が目を開ける。
「目、閉じて?」
 言えば彼女は素直に目を閉じる。
 本当に素直で無防備だ……。
 彼女の血色の悪い唇に自分のそれを重ねる。ただ、軽く触れるだけのキス。
 びっくりして目を開けた彼女に、
「仲直りのキスね」
 と、笑いかければ目を見開く。
 そして両手で頬を押さえるんだ。
「翠葉ちゃん、もうNOとは言わせないよ。今から君は俺の彼女、恋人だからね」
 待つつもりでいた。でも、思った以上に司は侮れない。
「もう、逃げないで?」
「逃げる、ですか……?」
 彼女は不思議そうな顔をする。
「そう、色んな意味でね。自分の気持ちからも俺からも逃げていたでしょ?」
 毎回毎回、俺が言う言葉を一生懸命に考える君。考えていることを無意識に口にしてくれたらもっと嬉しいのに。
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