光のもとでⅠ
「そうそう。秋兄の要領の良さなら司のほうが詳しいんじゃない? 正に身もって痛感してるっていうかさ」
 司に話を振ると、前方から冷たい視線が飛んできた。
 俺から翠葉に視線を移すと、目の温度は一変して「ぬるい」程度になる。
「秋兄は手の抜きどころをえげつないほどに熟知しているし、采配揮うのは趣味みたいなもの」
 その言い方どうなのよ……って思ったけど、間違ってないから否定もフォローもできやしない。
 校門に着けば、実行委員の人間からちらほら声をかけられる。
 その挨拶に翠葉は、「おはようございます」と自然な笑顔で答えていた。
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