光のもとでⅠ
「翠には話しておいたほうがいい」
 ただし、人の前で言えるものでもない、か。
 ザワリ、と心が揺れる。
 感情のコントロールが狂いそうな前兆。
 でも――。
「俺から話す」
 司を見ると、司は視線を合わせては緩く首を振った。
「いや、いい。俺が話す」
「なんでっ!?」
「そんな顔で言われるくらいなら俺が言ったほうがいい」
「っ――」
「俺は言うか言わないかで悩んだけど、海斗ほどナーバスにはならない」
 くそっ、悔しい――。
< 6,186 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop