光のもとでⅠ
 俺の気遣いなんて、あいつ、絶対気づいてねぇし……。
 そもそも、司に言われた時点で「言いたくない」って気持ちが顔に出た俺の分が悪い。
 司はこれを言うことに抵抗を感じることはなかったのだろうか。
「言うか言わないか」。そこに悩んだとは言っていたけど、それは「言うか言わないか」だけの話で、俺が感じている「抵抗」とは別ものな気がする。
 俺は司や秋兄のようになりたいと思っている部分もあれば、あぁはなりたくない、と思っている部分もある。
 それが何かというのなら、「人付き合いの狭さ」なわけだけど、これは性格的なものとは別に理由がある。
 藤宮の人間の多くは交友関係が広くない。
 もしくは、広いけれどもどひどく浅い。
 それは表面上のものとしかいえないような関係が多い。
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