光のもとでⅠ
「あぁ、海斗か。あれはあぁ見えてそこら辺、意外と割り切れてなかったりするのよね。生まれてくる家は選べない、って結局そこにたどり着くのに。いつになったら慣れるんだか」
「……あいつは、慣れることはないと思う」
 海斗の場合、できるできないは別として、慣れることはないと思う。
 人付き合いにしても、俺や秋兄とは違うと主張しているのが見て取れる。
 そんなことをしたところで俺たちを取り巻く環境が変わるわけでもないのに。
「姉さん、どう思う?」
「仕方ないでしょ?」
「違う、海斗じゃなくて……」
 姉さんはトーストから俺に視線を移し、はっと我に返ったように口を開いた。
「嘘――盲点だわ」
 そう、盲点だった。
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