光のもとでⅠ
『秋斗だけじゃない。朝食のとき、司が気づいたのよ。それまでは私も気づかなかった』
 幾分か落胆した声だった。
『私たち、情けないわね』
 苦笑が漏れ聞こえる。
「湊ちゃん、悪い。今から配置換えをする必要があるから切る」
『そうして。翠葉には司が言うわ』
「電話助かった」
 どうやら、俺たちは相当暢気に構えていたようだ。
 感覚が麻痺してたとしか思えない。
 彼女自身に、俺たちと関わることの危険性を何ひとつ話してこなかった。
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