光のもとでⅠ
 彼女のバイタルを遡ってみるものの、際立った乱れは見つからない。
 まだ伝えられていないのか……。
 今はクラスにいる時間のはずだが……。
 悶々としていても、別のウィンドウは着々と色を変えていく。
 今、別のウィンドウに表示されているのは来場者リスト。
 スタートが近づくにつれ、セキュリティチェックが受け終わった人間たちのリストが色を変えていく。
「少し落ち着かれてはいかがですか?」
 蔵元がテーブルにカップを置く。
 それは、俺が彼女用にと買った耐熱ガラスのティーカップだった。
「ラベンダーティーです」
 それだけを言うと、蔵元はダイニングテーブルへと戻る。
 そのカップに口をつけたとき、彼女のバイタルが乱れた。
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