光のもとでⅠ
「だって、司先輩は格好いいもの。それに頭もいいしなんでもそつなくこなすイメージ。まず憧れない女の子はいないんじゃないかな。桃華さんだってなんだかんだ言っても先輩のことは尊敬しているみたいだし……。それに始めは冷たそうで怖かったけれど、実はとても優しいし。女の子が苦手なら、好きな子にだけ優しいのだと思うし……そういうのはきっと、女の子側からしてみたら嬉しいと思うの」
 どうしてかすごく嬉しそうに俺の話を続けた。
 少々褒めすぎな感が否めない。が、恋愛対象者に対する俺の行動は強ち外れていなかった。
 確かに、俺はほかの女子はどうでもよくて、どうでもよくないのは翠だけだ。
 そんなことは何度となく伝えてきているけれど、翠はそのくらいじゃ気づかない。
「……今、失恋したばかりだけど?」
「えっ!?」
 すごく驚いた顔をされたけど、そっくりそのまま翠に返したい。
 おまえだよ、おまえ――。
 相手の恋愛成就により自動的に失恋。現状はそんな感じだ。
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