光のもとでⅠ
「ね、桃華。もう一度訊く。校内を俺と歩くのは嫌? 困る?」
 蹲ってしまった彼女の表情は見えなくとも、サラリ、と前方に動いた髪のおかげでうなじが見える。
 そこは、先ほどの彼女の顔同様、ピンク色に染まっていた。
「や、じゃないです」
「あともうひとつ確認。俺は彼氏面していいのかな?」
「問題ないです」
「手つないで歩いたりとか、許される?」
「……だいじょぶです」
「……じゃ、お姫様。まずはその手に持ってるカードケースを首にかけてもらいましょうか?」
 彼女の手からカードケースを取り上げ、ピンク色した首にかける。
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