光のもとでⅠ
 以前、高校時代のアルバムを見せたときに桃華が口にした一言が気になっていた。

 ――「当たり前ですけど、ここに私はいないんですよね」

 普段はリアリストとも言える桃華が、小さく零したその一言が頭から離れなかった。
「だから、仕事中ってわかっていても、この手、放したくないんだけど」
 つないだ手を彼女の顔の高さまで上げて見せる。
 彼女は一瞬目を見開き、すぐに俯いた。
 けれど、その行動に反してつながれた手には力がこめられる。
「問題、ないです」
 という小さな声とともに。
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