光のもとでⅠ
「……ありがと」
『俺はこんなことくらいしかしてやれない』
 通話はすぐに切られた。
 それ以上に話すことも、必要もなかったから。
 俺が動かなくてもこのくらいのことは司か秋兄が動いただろう。
 ただ、その場合、間違いなく警備の人間を使ったはず……。
 秋兄、逆を言えばさ……俺はこういうふうにしか動けないんだ。
 俺はまだまだ弱い。
 こんなことを自分の意思ではなく、人に任せてしまうあたりがとても弱い。
 でも、弱いままでもいられない。
 俺も決めたから。
 自分の枠に人を入れると、決めたから――。
 大切な人は自分で守る。
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