光のもとでⅠ
 けど、自分の力だけで守れるほど俺は大人じゃない。
 だから、使えるものはなんでも使う。
 そうは思っていても使い方がまだまだ甘い。
 それは俺に潔さが足りないせい。
 俺がこんなふうに一クッションおいたとしても、本当はもう翠葉は被害に遭っている。
 すでに、藤宮と親しい人間という意味合いで学園の生徒から見られてしまっている。
 今さら、こんな一クッションを置いたところでなんの意味もなさない。
 それでも、俺は翠葉を気遣うような方法を取って、自分を擁護しているにすぎない。
「……ほとほと嫌になる」

 リダイヤルを呼び出し空太にかけようとしたら、前方から空太が走ってきた。
「海斗、何さぼってんだよ」
 息を弾ませた空太に言われる。
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