光のもとでⅠ
「しゃぁないな……。とりあえず、佐野を捕まえるか」
 でも、逃げられたらどうするかな……。
 あいつに追いつけるのはこの学校に――というよりは、この近辺で佐野より足の速いやつなんてまずいないだろう。
 そんなときは――。
「人海戦術?」
 口にして頭を振る。
 そんな人員すらいないときたもんだ。
 クラスにはクラスでの割り当て作業というものがある。
 しかも、休憩に出るのもぎりぎりの人数で回しているのだ。
 そんなことを考えているところに対象人物が通りかかった。
「佐野っ!」
 咄嗟に声をかけると目が合ったにも関わらず逃げようとする。
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