光のもとでⅠ
「なんで逃げんだよっ!」
「やっ、なんかすげぇやな予感がする」
 間違っていないどころか大当たりだ。
 でも、逃がさねえっ。
 追いかけたところで追いつける自信はない。
 じゃぁ、どうするか――。
「あ、いいところにケンケン発見」
 佐野の向こう側に馴染みある顔が見えた。
「ケンケンっ、それ捕獲っっっ」
 佐野の前方にいたのは一学年上の笹野健太郎。
 一年C組、笹野美乃里の兄、俺の幼馴染のひとり。
「それって、これ?」
 目で会話しつつ、バスケで鍛えられたフットワークで佐野の行く手を阻み捕獲した。
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