光のもとでⅠ
 ケンケン、そこっ!?
 この話の流れでそこなのっ!?
「ね? 佐野くんもそう思わない?」
「はぁ……まぁタッパは欲しいっすよね」
 佐野とケンケンは身長が同じくらいだ。
 そこに仲間意識を持ったのか、「たぶん」初対面であろう佐野を相手に話を始めた。
 何を隠そう、ケンケンは知り合いだろうがなかろうが、誰とでも旧友のように話せる人種。
 時と場合、人によっては馴れ馴れしいと思うかもしれないが、そう思わせない何かがこの男にはある。
「ところでさ、佐野くん。美乃里って今クラスにいるの?」
「は?」
「あ、申し送れました。自分、笹野美乃里の兄、健太郎と申す。で、美乃里は今クラスにいるのかな?」
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