光のもとでⅠ
「七倉さ、わかってると思うけど――」
「わかってるよっ。佐野くんが飛鳥ちゃんを好きなのなんてずっと前から知ってるし、知らない人なんてうちのクラスにいないじゃない」
 思わず苦笑しちゃう。
 だから告白できずにいたのだ。
 振られても振られても、ずっと好きって、毎日毎日その姿を見てきたから。
 そんな佐野くんに、どうやって気持ちを伝えたらいいのかなんてわからなかった。
 佐野くんの視線の先にはいつも飛鳥ちゃんがいて、飛鳥ちゃんの視線の先には海斗くんがいた。
 海斗くんの視線の先には飛鳥ちゃんがいるように見えるのに、どうしてまとまらないのかな、って……。
< 6,335 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop