光のもとでⅠ
「そんなの、慣れてもらわないと困るんだよね。葵、ここまででいい。彼女をこちらへ」
「翠葉ちゃん、力になれなくてごめんね」
「いいえ、こちらこそごめんなさい。重かったでしょう……?」
「そうだな、肩車したときよりはね」
「ほほぉ……葵はそんな幼少の頃の彼女を知ってるわけだ?」
 強引に葵から彼女を引き剥がすと、葵は慌てて言葉を並べ始めた。
「一度だけですってばっ! 一回会ったことがあるだけですからっ、今度蒼樹にでも言ってアルバム見せてもらってくださいっ。俺、先輩の家のドア開けてきますっ」
 葵は逃げるようにドアを閉めていなくなった。
 家に入り、自分の感情を持て余したまま彼女を寝室に連れて行くと、怯えた目と視線が交わる。
 不安に揺らぐ目にため息をつきたくなる。
 翠葉ちゃん、そりゃ面白いわけがないでしょう。今日の楽しみをひとつ取り上げられたのだから。
「さて、どうお仕置きしようかな」
 にこりと笑って見せると、彼女の顔が少し青ざめた。そしてすぐに、「ごめんなさい」と謝る。
「まずは、翠葉ちゃんの口から理由を聞きたいかな」
 ベッドに腰掛け、彼女の右手を取る。と、反射的に手を引かれそうになった。
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