光のもとでⅠ
 本当に、俺何やってんだか……。
「そんなことにも気づかないくらい彼女に首っ丈なんだ?」
「……そう、みたいです」
 翠葉ちゃんを好きだと認めるだけでも俺の心はあたたかな気持ちに包まれる。
 会場からはシンディーローパの「True Colors」が聞こえ、スクリーンには歌詞と翻訳されたものが表示されていた。
 英語が苦手な彼女に優しい対応、といったところだろうか。
 この歌詞の内容を知れば、彼女はその目に涙を浮かべるのだろう。
 メインを張って歌っているのは茜ちゃん。
 この子は今日どんな答えを出すのか……。
 あのあと、茜ちゃんとは一度も話していなかった。
「秋斗くんがそんな顔をしちゃうような子なのね」
 少しほかのことも考えていたことは内緒だ。
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