光のもとでⅠ
 軽くノックをして中に入れば、見知らぬ男が養護員教諭のすぐ近くにあるデスクに身を預け立っていた。
「何かご用でしょうか?」
 女はこめかみのあたりを引くつかせ、
「何か、じゃないわよっ。何よこれっ」
 この女、何を言ってるんだ?
 そうは思ったが、顔にも声にも出しはしない。
「なんの話ですか?」
 その男は何者だ、と多少警戒したものの、紺のスーツを着た男から鋭い気は感じられない。
 むしろ、口元や目元から好奇心のようなものがうかがえた。
 その男より目の前の養護員教諭のほうが感情をむき出しにしている。
 少しして、その男と女がペアリングをしていることに気づいた。
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