光のもとでⅠ
 一族の人間もそうでない人間も――。
 俺にはそれ以外のものなど用意されていない。
 最初からそれ以外の枠など存在しない。
 この女もじきにその空気に染まるのだろう。
「それ……その人がもし俺の本命だったらどうするんですか?」
 単なる話のつなぎとして訊いてみた。
 すると、女の代わりに男が答える。
「それはないな」
「……藤宮秋斗と申します。あなたは?」
「玉紀佳範(たまきよしのり)。なっちゃんの夫」
 そう言って、女を愛しそうに抱きしめ、自身の腕の中に閉じ込めた。
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