光のもとでⅠ
 理由はあるらしいが、俺に思い当たる理由はひとつもない。
 翠の考えなんて当てようと思うだけ無駄。
 どうせ、何か突拍子もない理由に決まっている。
 そう思って適当にトラップを仕掛けた。
 渡されたコサージュはすでに装着済みだったがそれを餌にする。
 翠はトラップとも言えないそれに意図も簡単に引っかかる。
「これ、どこにつけるもの?」
「あ、えと、胸元でいいと思うよ?」
 訊けば顔を上げ、すでに装着済みのコサージュを見て口を噤む。
「やっと顔上げた」
 俺の言葉には「意地悪」という思いがけない言葉が返される。
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