光のもとでⅠ
 基本は無表情がデフォルトで、感情の片鱗を垣間見てしまった、もしくはきれいに笑うツカサを見たなら要注意。
 司の笑顔は「絶対零度」の異名を誇る。
 そんな男がひとりの女の子に向かっていくつかの表情を見せていた。
「なんか波乱が起きそうじゃね? 俺、楽しみなようでちょっと怖い」
 ケンの言葉に俺は頷くでもなくその様子を見ていた。
 このときから俺たちの中では、「何かが変わる」と予想できていたわけだけど……。
「でも、どうして行き先が図書棟なんだろう?」
 ふたりは真っ直ぐと図書棟へ向かって歩いていた。
「……もしかしたら外部生の生徒会候補者かな?」
 俺にはそのくらいしか思い浮かばなかった。
< 6,400 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop