光のもとでⅠ
 歌を歌い終えた彼女が奈落へ戻ってくる頃、スクエアステージでは司の歌が始まっていた。
 そこで彼女に提案。
「あれ、会場で見たくない?」
 まずは、興味があるかどうかの確認。
「……いいんですか?」
 遠慮がちに訊くものの、目は輝きを増した。
 よしよし、食いつき良好。
「大丈夫。司のあとはフォークソング部のステージだし、ほかのときでも一曲通して見るのは難しくても、見たいなら誰かに付き添わせるよ。それとも、奈落にある大画面モニターのほうがいい?」
 彼女はぶんぶんと首を振る。
「会場で生の音を聞きたいです」
 そっちか、とは思うものの、彼女は俺たちの思惑どおりに動いてくれた。
 あとは司だな……。
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