光のもとでⅠ
 けど、確認をしなくても今は俺としか通信がつながっていないと思ってもらえるくらいには信用されたんだな。
 ここまでくるのにいったい何年かかったことか……。
『別にかまわないけど……。どうせ、そういうのも映像班が全部記録に撮ってるんだろ? だとしたら、姫と王子の出し物の演出とでも言い逃れはできる』
 口早に伝えられる。
 だから、俺も早口で答えた。
「相変わらず抜け目ないことで……。それでおまえは伝えようって気にはならないわけ? 逃げるんだ?」
『逃げ、か……。少し前まではそうだったかもな』
 珍しいことを言う……。
 思わず自分の耳を疑った。
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