光のもとでⅠ
 顔が真っ青にならなくても発熱という可能性がある。
 心配しながら様子を見つつ、結果的には声をかけた。
「体調は大丈夫?」
 大音量の中、彼女の耳元で大きめに話すと、
「え? あっ、はいっ。大丈夫ですっ」
 彼女にしては、かなりのオーバーリアクションが返ってくる。
 そして、慌てつつも歌詞カードを持っていない左手で頬を押さえた。
 これ……もしかして赤面ってやつですか?
 勝算がどのくらいあるのかわからない中、希望の光が見えた気がした。
 不自然にならないよう、
「どうかした?」
 声をかけると、彼女は眉をハの字型にして俺を見上げる。
「これも、恋愛の歌ですか?」
 恋愛の歌かどうかを判断できないことは置いておくとして……。
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