光のもとでⅠ
 見開いているその目に視線を固定する。
「翠、会長はやれるだけのことをやったあとだ。今は茜先輩を待っている」
 これ以上、俺が言えることは何もない。
 翠、これで引き下がってくれないか。
「ごめん、ツカサ。私、言葉が足りてなくて……。私が声をかけたわけじゃないの。茜先輩が……茜先輩が私と話したいって言ったの」
 茜先輩が、翠、に……?
「だから、私、行くね。茜先輩の話を聞いてくる」
 俺は声を発することもできずに翠の背中を見送った。

 今日、茜先輩とは何度か話した。
 仕事上では問題ないが、俺とふたりになると雰囲気が一変する。
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