光のもとでⅠ
 たった一度だけ、ふらりと俺のもとへ訪れたときと同じような雰囲気を漂わせていた。
 決壊ギリギリのところで留まっているような、そんな危うさ。
 翠が消えた通路を再度見やる。
 この通路の先には、その茜先輩が待っているのではないだろうか。
 そんな不安を胸に抱くと、朝陽によって視界が遮られた。
「過保護すぎるのもどうかと思うよ?」
「っ……」
「嬉しいね。司のそんな顔が見られるなんて。本当に彼女が大切なんだな」
 にこりと笑うこいつをこれほどまでに疎ましく思ったことはないだろう。
「でもさ、会長も茜先輩が大切なんだよね。……会長、今は何もできないんでしょ? だから動かない。それで茜先輩が彼女を呼んだのなら、彼女には介入権があるわけだ。違う?」
 違わない……。
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