光のもとでⅠ
「先輩、先に言っておきますね。行き先は一年B組の観覧席です。で、秋斗先生もすでに到着済みらしいですよ」
 なんで、と訊く必要はなかった。
 第二部のトップバッターは翠なのだろう。
 翠が何かをするために自分が移動させられている。
 たかだかそれだけの情報で、面倒だと思う気持ちが払拭された。
 足が地についていないというか、心に浮力が生じたというか――。
 この「感じ」には当分慣れそうにない。

 会場へ上がり目的の観覧席に近づくにつれ、そこに揃う面々が見えてくる。
 通常なら奈落にいるはずの簾条も佐野も立花もいた。
< 6,452 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop