光のもとでⅠ
「おかしいですね……。時間かからないようなこと言ってたみたいなんですけど」
 高崎がぼやく。
「どうやら吹奏楽部のハープの弦が切れたらしい」
「あ、じゃぁその張替えに行ってるんですか?」
「らしい」
 が、それにしては遅い気がした。
 朝陽がついているのなら問題はないと思うが――。
 会場ならば人目があるから何が起こるとは思っていない。だが気になるくらいなら状況把握を努めたほうがいい。
「翠、どこにいる?」
 個別通信を使う。けれど、一向に応答する気配がない。
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