光のもとでⅠ
 疑問に思っていると声をかけられた。
「ツカサ、どうしても――どうしても図書棟まで戻らないとだめかなっ?」
 もしかして、和太鼓の演舞を聴きたいとか言うんじゃないだろうな……。
「……横になって休んだほうがいいだろ」
 取り合うつもりなく歩みを進めると、
「……でも、これ聞きたい」
 翠にしては珍しい。
 基本、こういうわがままは言わない。
 言われた記憶があるとしたら、夏休みの花火大会のときくらい。
 それでも譲るつもりはないけれど。
 今頃、図書室には相馬さんが待機しているだろう。
 それから、オーダーしておいたサンドイッチや飲み物も届いているはずだ。
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