光のもとでⅠ
 図書棟にあなたを呼びつけたのは自分ですが、ここまで来させたのは翠ですから。
 そこのところ間違えないように。
「おら、脈見せろや」
 相馬さんは翠の両手首を取ると目を閉じ、感覚だけに集中する。
 東洋医学での脈診には興味があった。
 それができたら翠の身体の状態をもっと詳しく知ることができる。
 バイタル装置とは別の情報を得ることができるそれに魅力を感じていた。
「ま、悪くはない。ほらよ、エネルギー摂っとけや」
 蔵元さんが持っていたプレートが相馬さん経由で翠に渡される。
 翠はプレートをじっと観察していた。
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