光のもとでⅠ
「全部坊主の手配で図書棟に届いてたもんだ」
 言うだけ言って、相馬さんは来た道を戻っていく。
 そこまで言わなくてもいいものを……。
 話をこちらに振られそうだったから、振られて困る前に気になっていたことを蔵元さんに尋ねた。
「唯さんがインカムにも応答できない状況ってなんですか。……今日、あの人に出番はないはずじゃ?」
 唯さんはホテル内の仕事のほか、メインコンピューターに携わる仕事と秋兄直下の仕事しかしていないはず。
 それが、あんなに余裕のない状態というのはごく限られた項目しか浮かばない。
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