光のもとでⅠ
「口が止まってる」
 指摘すると、今度はパクパクと口を動かしサンドイッチを頬張った。
「……別に、急いで食べろとは言ってない」
 ……ったく、何を考えているんだか。
 でも、不思議なものだな……。
 人の言動や行動に自分が左右されるのは好きじゃない。けど、自分の言葉に慌てふためく翠を見るのは好きだと思う。
 どうしてか、嬉しい……。
 ……だからサドって言われるのか?
 そんなことを考えつつ、サンドイッチを食べ終えた翠を立たせ、そこに羽毛布団を半分敷き座らせる。
 もう半分を膝にかけてやると、「ありがとう」と礼を言われた。
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