光のもとでⅠ
 どちらにせよ、ここを通れる人間は限られている。
 しかも、俺と翠がここにいる時点で奈落や会場からは通行パスを持った人間しか進入できないように警備員の手で規制されているはず。
 ならば、警戒を緩めても問題はない。



 ――パシャ。
 音に気づいたときには遅かった。
 目を開けて何が起こったのかは理解したが、隣の翠はまだ寝ぼけた状態。
 動いてそのカメラを奪うこともできない。
「え? シャッター?」
 やっと目を覚ました翠が言葉を発する。が、まだ覚醒しきっていないのか、言葉がたどたどしい。
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