光のもとでⅠ
 どうやらペットボトルを落としそうになったのを間一髪で飛翔が受け止めたようだ。
「……あんた、マジで生徒会役員?」
 飛翔は翠を年上として扱うつもりがないのだろう。
 こいつは学年や年に関わらず、能力のみで自分の上と下をきっちりと分ける性質で、性格に多少癖がある。
「飛翔、あまりいびるなよ」
「つ、ツカサっ」
 飛翔と翠が驚いた顔を俺に向ける。
 翠の頭に手を置くと、自分の中に渦巻いていた黒い感情が一瞬にしてなくなった。
 翠に触れて自分が落ち着くって何――。
 たかだかこんな動作で「自分のもの」と誇示しているつもりなのか?
< 6,509 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop