光のもとでⅠ
「お久しぶりです」
 飛翔に言われて適当に頷く。
 飛翔が翠に絡まなければそれでいい。
 まだ飛翔の手にあるペットボトルに手を伸ばし、それを翠の手に戻した。
 なんていうか、ただ、飛翔の手から翠の手に戻るのが嫌だっただけ。
 俺、どれだけ独占欲強いんだか……。
 先が思いやられる。
「ありがとう。……ひ、飛翔くんも、あり、がと……」
 翠のその対応にほっとする自分はどうかしていると思う。
 翠の中で飛翔は「苦手」と認識されたのだろう。
 声が上ずりまともに対応できていない。
 さらには若干の後ずさりが加わり、今は俺の胸に翠の肩甲骨が当たっている。
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