光のもとでⅠ
「今回のこれは翠が総元締めだ。しかも、プラマイゼロを狙ってる」
 飛翔が目を剥けば、翠はますますもって苦手意識を強めたようで、背中がぴたりと自分にくっついた。
 そんなことすらおかしく、俺は翠の頭を二回軽く叩いた。
 周りには海斗も佐野もいるから翠を任せて大丈夫だろう。
 そんな確認を済ませてから、自分は歌の待機に入ることにした。
「じゃ、俺は待機に入るから」
 昇降機にたどり着き振り向いたとき、目を剥くのは俺の番だった。
 飛翔何やってっ――!?
 翠が飛翔に腕を引かれる瞬間だった。
 すぐに海斗が翠を回収したものの、翠の状態が気になって仕方ない。
 待機中のため、通信を使うこともできない。
 読唇できないかと試みたが、人の行き交いが多い奈落では無理だった。
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