光のもとでⅠ
「秋兄、彼女できたって」
「「えっ!? どこの誰っ!? どんな子っ!? 美人っ!?」」
 いい大人ふたりそろってこれだ……。
「御園生翠葉。秋兄の後輩に御園生蒼樹さんっていたでしょ? その人の妹で、現在俺のクラスメイト。でも、病気で一年留年してるから年は司と同じ。因みに美少女」
 簡潔に述べると、「写真はっ!?」と声を揃えて訊いてくる。
 そこで、先日の球技大会の写真と姫の写真を見せた。
「あら、かわいい子……」
 と、紅子さん。
「秋斗は俺に似て面食いだな」
 と、父さん。
「ピアノを弾く子なのね。性格は? どんな子?」
 関心が途絶えることがないのは紅子さん。
「そうだなぁ……ピアノはうまいと思う。成績は現時点で学年三位。で、話したとおりちょっと体が弱い。湊ちゃんと紫さんが主治医についてるみたいだけど、詳しいことはわかんない。性格はぁ……なんつーか謙虚ですごく素直な子。それはもう猜疑心の欠片もないような。あとはちょっと臆病かな? 今年の姫に選ばれるくらいにはかわいいけど、本人は残念なくらいにそれを自覚してない。ちょっと天然入ってるかも」
 言うと、ふたりの顔が輝き出す。
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