光のもとでⅠ
 たった二文字で可能性ゼロの拒否。
「拒否権があるとでも?」
 俺は翠の保険屋なんだろ?
 ここで利用しない手はないだろ?
「今日は家族水入らずで夕飯を食べる予定なの。みんなでお鍋食べるからだめ」
「……あぁ、そう」
 これは暗に、俺に話すつもりはない、とそう言いたいのだろう。
 極々遠まわしにそう伝えようとしているのがわかった。
 なんで――。
 今までならすぐに助けを求めてきていたのに。
 本来、俺はそういうポジションにいるはずなのに。
 どうしてここまで拒否されるのかがわからない。
 納得がいかない――。
< 6,536 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop