光のもとでⅠ
 しっかりと翠の体重を感じ、間に合ったことにほっとする。
 けれども、口からはこんな言葉しか出ない。
「何度俺に阿呆と言われれば気が済む?」
 焦点の合わない目がこちらを向いた。
 が、焦点が合わないことに諦めたのだろう。
 そのまま、バランスすらまともに取れない状態で床に視線を落とした。
「大丈夫っ?」
 茜先輩が翠のもとまで走り寄ると、
「ごめんなさい、でも――」
 と、自分の手を前へ伸ばした。
 きっと視界の回復は間に合っていない。
 まだ俺が手を放すわけにはいかない。
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