光のもとでⅠ
「サザナミくん、身体を貸してほしいっ。それから、久先輩も一緒に来てくださいっ」
 なっ!?
 翠はふたりの腕を掴んで会場に上がる階段の方へと引っ張る。
 その行動には緊急を要すような切羽詰った感じがあった。
「翠葉ちゃんっ!?」
 奈落はステージよりもこの場の翠に意識を奪われていた。
 そのくらい、翠の行動は突飛なものだったと思う。
 走るなバカっっっ。
 俺が止めに入る前に腕を掴まれていた会長と漣が止める。
「御園生さん、走っちゃやばいでしょっ!?」
「そんなのどうでもいいからっ」
「「よくないでしょっ!?」」
「だってっ、ステージに久先輩を届けたいっ」
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