光のもとでⅠ
「すでにキスくらいはされてるんじゃない? それをどうこう言ったって仕方ないだろ? 翠は翠のものであって誰のものでもない」
 司、おまえ淡白すぎやしませんか?
 普通、好きな女がほかの男とキスしてるなんて想像したらはらわた煮えくり返るだろうよ。
「あのさ……いい加減仕事しないと今日帰さないけど?」
 メガネの奥の目が冷たくこちらを見据える。
「今日中にそこのダンボールの中身片付ける必要がある。おまえ、無駄口を叩く余裕なんてあるの?」
「……すみません。まったくもってございません」
「だったら、手を動かせ」
 その一言で話を終わらされた。
 ほかのメンバーはというと、試合前で来れなかったり、ほかの仕事で職員室に行っていたりするわけで、今これを片付けるのは俺と司しかいないわけでだ。
 心してかかりましょう、そうしましょう……。
 翠葉ぁ……あとでおまえの無事を確認しに行くからな。無事で待ってろよっ!?
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